Olasonic
『TW-S7W』

音響的に理想の形である卵型を採用したアクティブスピーカー。USBポートにつなぐだけで音楽データをデジタル伝送すると同時に10W+10Wのハイパワーを再生を実現!

私は『iMac』で仕事をしている。そのデザインと性能に不満はないのだが、内蔵スピーカーの音質がイマイチなのが残念だ。他の部分では国産PCに負けないのだが、ここだけは不満。仕方がないので3万9480円もするBOSE『Computer MusicMonitor』というPC用としては、はなはだ贅沢な製品を使っている。

そこに理想の点音源を実現、USBからの給電のみで10Wの出力、デジタル接続でデジタルアンプを駆動するという魅力的なスピーカーが登場した。しかも、予想実勢価格約1万800円と破格に安い。Apple Storeで販売予定というから、Macとの相性もいいに違いない。これはぜひ聞いてみたいと思った。開発したのは東和電子で、このスピーカーのためにOlasonicというオーディオ専門ブランドを立ち上げたという。なかなか気合いが入っているではないか! カラーはホワイトとブラックがある。卵形と言えばホワイト。ということでホワイトに決定。箱から出してみると、ツヤツヤのボディーが現われた。

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そのデザインは日本製ではなく北欧を思わせる。白いボディーには「Olasonic」の文字が入っているだけと非常にシンプルで美しい。スピーカーのフロントグリルは剛性感が高く、いかにも余分が音を出さないように見える。ここでちょっと説明しておくと、スピーカーは呼吸球と呼ばれる小さなボールのようなものが振動して音を出すのが理想とされている。もちろん現実にはこんなものは存在しなので、ガラスの球にスピーカーユニットを取り付けたり、多面体や円柱形のスピーカーなどが作られてきた。しかし、オーディオというのはかなりアナログな部分が多く、理論やスペックが良くても聞いてみたら、音はダメダメということが多々ある。そこで世の中のほとんどのスピーカーは、作りやすさ優先で四角い箱に入っているわけだ。さらに、ボールのように小さな点音源が理想といっても、スピーカーは低音を出そうとすれば振動板の面積を大きくする必要があり、ここに二律背反が生まれる。本機はPC用のスピーカーなので、一般のスピーカーよりも近くで音を聞くことが前提になり、小口径スピーカーユニットを使って重低音よりも、定位、格好良く書くとステレオイメージの再現性を狙っているのだ。

『TW-S7W』は卵形にすることで、スピーカーの表面に反射する音のクセをなくしてシャープな定位を再現しようと言うわけだ。もちろん卵形は内側の音の反射にも有効だ。さらにフロントグリルのセンターには、ディフューザーと呼ばれる突起を取り付けて高音を拡散させ、鋭すぎる指向性を改善するという凝った作りになっている。

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次に小型スピーカーで低音を出すための手法として定番のバスレフ方式を使わず、パッシブラジエータを採用した。バスレフ方式とはスピーカーキャビネットにポートと呼ばれる穴を開けて、内部に筒を付けることで任意の周波数を増強する方法だ。AV用も含めて最も多くのスピーカーが低音再生のためにこの方式を採用している。『TW-S7W』が採用したパッシブラジエータとは、ポートの替わりに低音専用のスピーカーユニットを取り付けてスピーカー内部に起こる背圧で動かすというものだ。このスピーカーユニットには電気信号を流さずに、あくまでも背圧だけで駆動するのがポイントだ。バスレフ方式と比べるとコストがかかるが、ポートの風切り音が発生しないとか、音にクセが出にくいなどのメリットがある。本機ではスピーカー背面にユニットが付けられている。

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デジタルアンプへの給電と音楽データはUSB接続で行なう。右奥に見えるのは、左右のスピーカーを接続するための端子である。

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徹底的に角のない球面にこだわったため、スピーカー底部も球面。このままではコロコロしてしまうので、シリコン製の専用インシュレーターが付属する。この上にスピーカーを載せて使用する。

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インシュレーターを使うことで、スピーカーの置き方の自由度がかなり高まった。例えば耳の方に角度を付けて上向きに置くこともできる。さらに真横に近いくらい横向きにすることもできる。これによって音増定位がピンポイントになるように、セッテイングをミリ単位で詰めていけるのだ。なかなかマニアックな設計である。

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『iMac』に接続した場合は、システム環境設定のサウンドを開いて、出力をUSBに切り替えないと音が出ない。ドライバーなどをインストールする必要はなく、『TW-S7W』を接続するだけでハードウエアとして認識されるのだ。Windows 7の場合はコントロールパネルのサウンドを開いて、再生項目のスピーカーを規定のデバイスに設定して内蔵スピーカーのチェックを外せば準備完了だ。

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実際に『iMac』のヨコに置いてみるとサイズはこれぐらいだ。隣のBOSE『Computer MusicMonitor』は高さ約12cmとコンパクトなので『TW-S7W』やや大きく見えるが、高さはインシュレーター込みで15cmぐらいだ。

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耳で試聴するだけでなく、周波数特性を目で見られるように、「WaveSpectra」と呼ばれるフリーウエアの高速リアルタイムスペクトラムアナライザーを使った。開発しているのは「efu」で、ソフトウエアもここからダウンロードできる。高性能多機能なソフトで、無料で使えるのは、かなり嬉しい。これをhp『HP Pavilion Notebook PC dm1』にインストールして、内蔵マイクを使って測定する。

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今回は低音再生をテーマとするので、とりあえず、低音の入っている曲を探さなくてはならない。マイケル・ジャクソンをしのんで、アルバム「Dangerous」から「Black Or White」を選曲した。最初にドアをドンドン叩く音が入っているが、これをAVシステムのサブウーハーで再生するとかなりリアルで、初めて聞く人はたいていビックリするのだ。音楽データを直接、アナライザーに読み込ませると100Hz以下の低音が盛大に入っていることがわかる。35Hzぐらいまで入っているので文句はない。だいたい50Hz以下の低音は音ではなく振動としてしか感じられないので、小さなスピーカーで再生するのは無理なのだ。グラフについて、ざっと説明すると縦軸が音の大きさdBという対数で表示する。10dBで10倍、20dBで100倍、30dBで1000倍の差になる。横軸が周波数帯域で、音の高低を現わす。左が低音で右が高音だ。CDの場合は高音は22.05KHzまでしか記録できないので、20KHzから上はフィルターで切って出さないようにしていることが多い。また低音も音楽に入っていない場合は単なるノイズになるためフィルターで切ることが多い。赤い線が「Black Or White」のイントロから1分30秒までに入っていた音のピークを記録している。緑の線は1分30秒でポーズした瞬間の音である。

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では、このCDを拙宅のAVシステムで再生してみよう。こちらにはヤマハのYSP方式のサブウーハーが入っており、AVアンプの自動調節機能によってスピーカーの周波数特性も部屋の特性に合わせて補正されている。横軸の100Hzから左側に注目すると80Hzに山があり、重低音重視のAVシステムであることがわかる。「Black Or White」の低音もほんとにドアをドンドン叩いているように聞こえ、隣近所の住人からクレームが来てもしかたがないというほどの大迫力だ。

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今度は『iMac』の内蔵スピーカーを鳴らしてみよう。薄型ボディーの狭い場所に押し込められたスピーカーなので当然、低音は期待できない。150Hz辺りから低音が減衰しているため、重低音が入っているかどうかは全くわからない。聴感上はかなり寂しい音に聞こえる。低音は音楽の土台と言われるだけあって、これが出ないといくら音量を上げても薄い音に聞こえてしまうのだ。ちなみに「iTunes」のイコライザで低音をブーストしたのだが、電気的に補正してもスピーカーに再生能力がないため効果はなかった。

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次は『TW-S7W』を鳴らした場合だ。200Hz付近に山があり、これが低音を支えているようだ。聞いた感じでは音量を上げていくとインシュレーターを通してデスクの天板が共振するほど低音の量感は出ている。さらにデジタル伝送の強みか情報量が多く、音はクリアーでスピード感がある。『iMac』の出力50%でかなりの音量が出せる。60%以上にする必要はほとんどないだろう。これがUSB接続スピーカーとは信じがたいパワーだ。また、ボーカルのセンター定位は『Computer MusicMonitor』よりピタリと決まる。卵形にこだわった効果に違いない。音色は爽やかで、音離れがいいのでスピーカーの外側にも音が広がる感じだ。特にシンセを使った曲は空間に音が浮かび上がるよう現われる。もちろんアコーステックな楽器の音もいい。せっかくなので『TW-S7W』用のイコライザ特性も作ってみた。これは聴感上で決めたもので何の根拠もないのだが、オーディオはこのようにお金を掛けずに楽しめるところがいいのだ。

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Olasonic初のPCスピーカーは予想以上に気合いが入っていた。そのデザイン、仕上げ、コンセプト、音質どれをとっても看板に偽りなし。これが1万800円とはかなりのハイコスパモデルである。PC用スピーカー選びに悩んだら、他の候補のことは忘れて本機のホワイトかブラックで悩んで欲しい。どちらを選んでも音で後悔することはない。私はダイニングキッチンの薄型TVと本機を接続したいのだが、USB接続しかできないので無理なのだ。USBのデジタルアウト付き薄型TVは発売されないのかなあ〜



Olasonic『TW-S7W』

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【SPEC】
●幅108×高さ141×奥行き108mm、950g。アンプ方式=SCDS。電源=USBバスパワー。オーディオ入力=USBポート。接続環境=Windows 2000/XP/Vista/7、Mac OS9.1/OS X 10.1以降。予想実勢価格約1万800円。4月1日発売予定。

■東和電子のホームページ
http://www.twa.co.jp/index.html
■『TW-S7W』の製品ページ
http://www.twa.co.jp/store/olasonic/tws7.html#Feature



プロファイル
川野剛
カメラマンに憧れ中1で押し入れ暗室にこもる。高校で写真部部長。コピーライターとなるが、会社を辞め単身カナダに渡りアウトドアインストラクターを目指す。帰国後、AV、家電、デジカメ、Macの好きなライター稼業を続ける。家事検定3ツ星、NPS会員。

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