TDK
『TH-WR700』


16bit/44.1KHzの音声データをそのままワイヤレス伝送できる新技術を採用した、ローノイズ、高音質のオーディオ用ヘッドホンが登場! これで快適通勤は決まりだ。

『iPod』などのDMPを通勤電車や屋外で楽しむための定番ヘッドホンと言えば、遮音性が高いカナル型などのインナーイヤータイプだろう。しかし、このタイプは意外とコードが邪魔になる。いざ使おうとしたらバッグの中でグルグルに絡まったり、音楽を聞いている時にコードに触るとタッチノイズという嫌な雑音が入ったりするのだ。だからと言って本格的な密閉型のヘッドホンは大きくて、重くて、目立つのでちょっと勘弁というのが大多数の人たちの意見だと思う。
では少数派の人々はどうしているのだろうか。多分、Bluetoothを使ったコードレスヘッドホンで快適通勤を楽しんでいるに違いない。ヘッドセットを使えばケータイも手ぶらコードレスで使えるし、運転中にも欠かせないアイテムだ。しかし、問題はBluetoothはイマイチ音が悪いということ。その原因は音楽用のA2DP呼ばれる規格で、音楽データを伝送時に圧縮しているからに違いない。MP3やAACはすでに一度圧縮されているので、これを再び圧縮するのは音が悪くなりそうな気がする。さらにBluetoothは周波数ホッピングという方式でデータを送信している。これが同じ帯域を使う無線LANと干渉した場合に、音が切れる原因となっているのだ。じゃあどうすればいいんだよ〜 と頭を抱えているところに朗報が! TDKから音質重視のピュアオーディオ用ワイヤレスヘッドホンが発売された。オーディオビジュアル専用に開発された「Kleerテクノロジー」と呼ばれる伝送方式を採用しているのが特徴だ。「Kleer」はBluetoothと同じ2.4GHz帯を使っているが、2.37MB/sの伝送能力があるため、非圧縮で16bit/44KHzの音楽データを転送できるのだ。このロスレス伝送によりBluetoothに比べ約40dBもSN比を改善している。さらに3MHz以下の非常に狭い帯域を使ってデータを送信するため、電波干渉に強く音が切れにくいというメリットもある。また消費電力が少ないと言われたBluetoothと比べても、1/10しか電力を消費しない。その結果、単4アルカリ電池で最大約40時間も使えるという。これはぜひ期待を込めて音質チェックや使い心地を試してみたいのだ。

早速、製品をゲット。箱の中にはヘッドホンと送信ユニット。延長コード付きのミニ端子、そして画像にはないが、黒い布製のソフトケースが入っていた。

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ヘッドホン側の電源は、左側に単4乾電池が2本を収納。右側は上下がボリューム。サイドが無線LANのコネクトボタンになっている。

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こちらが、コンパクトな送信ユニット。ヘッドホンと同様に単4電池2本で動作する。

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使い方は極めてシンプルでヘッドホン端子に送信ユニットを差し込んで電源ボタンを押すと赤いランプが点滅を始める。次にヘッドホン側のボタンを押すとリンクが確立されて使えるようになる。5分間、信号が流れないと電源が切れるオートパワーオフ機能を搭載しているので、いちいち電源をOFFにする必要がなく、電池は連続使用で最大約40時間使える。さらにマルチポイント伝送に対応しているので、1台のユニットから最大4台のヘッドホンに信号が送れる。つまり深夜に夫婦で映画を楽しんだり、仲良し3人グループで同じ曲を聞いたりできるわけだ。それなら、増設用のヘッドホンのみを販売して欲しいと思うのだが、それはまだ実現していないようだ。

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これがリンクを確立した時のヘッドホン側のランプの点滅。もし何らかの原因で音が途切れた場合は、自動的にリンクが復活するのだが、それでもダメなら、このボタンを押す。電池がなくなってくると障害物がなくてもリンクが切れるようになり、さらに音質も低下するので、そんな時は電池を交換しよう。この手の製品は電池のブランドによっても音質が変化することがあるので、ちょっと試したみた。パナソニックのエボルタと、SANYOのエネループを試したが、どちらも廉価版のアルカリ電池に比べて、低音に馬力があって情報量がアップする。楽器の定位がハッキリして、ボーカルはセンターに来る。私にはエネループの方が若干高域が華やかな感じに聞こえた。

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普段、使っているリファレンスのSHURE『SRH440』と音質を比較してみると、さすがに密閉式の『SRH440』の方が外からのノイズも聞こえずに情報量が多い。しかし音域的には『TH-WR700』も『SRH440』にひけを取らない。しっかり低音も出ているし、その音色は明るく爽やかなイメージだ。家でじっくり聞くなら密閉式の『SRH440』でいいだろうが、通勤や散歩などに使うと音楽にのめり込みすぎて周囲の状況が見えなくなるかもしれない。これに対して『TH-WR700』は小振りなイヤーカップで、それなりに周りの音が聞こえてくるのがいい。重さも『SRH440』の272gに対して、『TH-WR700』は電池込みの実測で179gしかない。これは装着感にも効いてくる。

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実際に装着してみると、『TH-WR700』の軽さが実感できる。さらにコードレスなのでわずらわしさゼロ。『SRH440』はストレートコードにしても左側が重く感じるのだ。見た目も大きくて存在感のある『SRH440』は電車では目立ってしまい、かなり違和感がある。歩く姿はテレビクルーの音声さんである。これに比べて『TH-WR700』は全体にマット仕上げで、派手な色も使っていないため目立たない。これはまさに通勤用と言ってもいいデザインだ。

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さらに『TH-WR700』は赤外線ではなく、無線方式のコードレスである。そこで変換プラグを使って、AVアンプに接続すると、ヘッドホンをしたままどの部屋に行っても受信可能だった。これが赤外線だと問題多発なのだ。拙宅のサラウンドヘッドホンは赤外線方式なので送信ユニットをヘッドホンから見える位置におく必要があり、この間をさえぎるものがあると音が切れてしまう。寝ながら映画を見るときは布団に邪魔されて音が急に切れたりしていた。これが嫌で『SRH440』を使っていたのだが、ストレートコードの長さが2.5mのため結構、ギリギリのポジションを強いられていた。『TH-WR700』を使うことによってすべての問題が解決したのだ。

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最後に付属の延長コードを使ってみよう。これはノートPCなどに接続する時にヘッドホン端子の近くにあるポートを送信ユニットが塞がないようにするために使う。例えば『MacBook』の場合は、直接接続すると2つしかないUSBポートの1つが使えないという由々しき事態が発生するため、このコードが欠かせないのである。

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「Kleerテクノロジー」は新しい規格なので、ゼンハイザーのインナーイヤータイプがあるぐらいで、本機と同価格帯ではライバル不在。ロスレス録音で『iPod』や『iPhone』に入れた音楽をフルに楽しめるコードレスヘッドホンとして注目の一台だ。実際に使ってみるとコードがないのでヘッドホンを使わない時はすぐに外してパーカーのポケットに入れられる。さらに取り出して使うのも簡単。そしてノイズが少ないので無音の時も快適。欲を言えばもっと送信ユニットがスリムならいいのだが。特に接続していないときにプラグが収納できずに出たままなのは収まりが悪い。また、ステレオミニプラグで接続するとDMP側のデジタルデータがアナログ出力になってしまうのが、ちょっと悔しい。できればデジタルのまま伝送できればさらなる高音質が実現できるに違いない。これはDMP側が「Kleerテクノロジー」を採用した送信機能搭載モデルを出してくれれば解決するので、今後に期待したい。

音質はコードレスではピカイチなので、屋外だけでなく室内でも積極的に使いたくなった。カナル型と違って開放的なので長時間使っていても疲れない。『TH-WR700』があれば、どこにいても高音質で音楽が楽しめる。そんな新しいライフスタイルを提案してくれる革新的なヘッドホンなのだ。



TDK『TH-WR700』


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【SPEC】
●送信ユニット=幅53×高さ36×奥行き20mm、約20g(電池別)。ヘッドホン=重さ170g。型式=ダイナミック型。ドライバー=φ34mm。音圧感度=108dB/mW。入力インピーダンス=32Ω。最大通信距離=見通し距離、約10m。オープン価格(実勢価格約1万7800円)

■TDKのホームページ
http://www.tdk-media.jp/index.html
■『TH-WR700』の製品ページ
http://www.tdk-media.jp/headphone/premium/index.html#02



プロファイル
川野剛
カメラマンに憧れ中1で押し入れ暗室にこもる。高校で写真部部長。コピーライターとなるが、会社を辞め単身カナダに渡りアウトドアインストラクターを目指す。帰国後、AV、家電、デジカメ、Macの好きなライター稼業を続ける。家事検定3ツ星、NPS会員。

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