タカラトミー
『ヒーリングラボ トリオプス』

「生きた化石」を育てる。そんな魅力的な飼育キットが存在する。生きた化石の正体は「Toriops Longicaudatus」(アメリカカブトエビ)である。古生代に栄えた古代水生生物と言えば三葉虫だ。これが「Trilobite」と呼ばれる。トリオプスも多数の体節と脚を持ち甲羅に被われている。三葉虫はアンモナイトと共に世界中で発見されたため標準化石にもなっている。古生代が三葉虫、中生代がアンモナイトである。どちらもP-T境界の大絶滅によって消滅した。この時、絶滅したのは全生物の95%とも言われ、一体何が起こったのかを考えると夜も眠れなくなってしまうのだが、その話はいずれするとして、今回の主役はトリオプスである。
このキットには水槽から、卵、エサなど必要なものが全部揃っているため、水さえあればお手軽に飼育を始められる。しかし、問題は水温である。夏休みの自由研究に最適な水温25度から30度ぐらいでないと卵が孵化しないようだ。さらにこれより暑くても寒くてトリオプスが死んでしまう危険性がある。ということでよい子は来年の夏まで飼育を待った方がいいのだが、私は大人なので「パネルヒーター」を使って水温管理に挑戦する。このヒーターを使えば水槽を安全に外側から温められる。さらに最高水温と最低水温をメモリーできるデジタル水温計をチェックしながら温度を管理する計画だ。実は水温は上げるよりも下げる方が難しい。もし夏に飼育して水温が30度を超えた場合、うまく冷やせなくて全滅させてしまう可能性が高い。実は私も夏に水温が35度まで上がって、クリスタルレッドシュリンプを全滅させたことがある。

これが冬にトリオプスを育てようと思わせた、ペット飼育用の『マルチ パネルヒーター ミニ/8W』である。実勢価格約2000円ぐらいの品物だ。

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16×16cmのパネルの黒い部分が暖かくなる。もちろん手で触っても火傷しない程度にしか暖かくならないので安心だ。

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自動温度調整機能があるので、最低と最高の水温をチェックしながら、このダイアルでヒーターの強さを微調整する。

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これが『ヒーリングラボ トリオプス』のセット内容だ。左から、カブトエビのエサ、ウッドチップ、カブトエビのたまご、カブトエビの栄養となる。

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カブトエビのたまごは、砂と一緒に入っているらしく、肉眼では確認できなかった。

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カブトエビのエサは、金魚のエサのようで成虫になってから、1日1粒なので、これだけあれば1年以上持つような気がする。

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最低/最高気温が記録できるデジタル水温計。これで最低水温が25度になるようにダイアルを回して調整するのだ。

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それではいよいよ、トリオプスを孵化させよう。1日以上、くみ置きした水道水を付属の水槽に八分目まで入れたら、ウッドチップと栄養を投入。

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3時間ほど馴染ませてから、今度はタマゴを投入する。ウッドチップは浮いたままで、ここにザザッと砂混じりのタマゴを入れるのだ。

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タマゴを投入したのが11月17日の午前9時。そして11月23日の午前11時に何か動くものを発見した! この赤丸の白い物体だ。

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よくわからないのでもっと接近してみよう。動きが速いのと小さすぎるためマクロレンズでもピンボケになってしまう。この人魂みたいのがトリオプスの赤ちゃんだ。体長は2〜3mmぐらいである。

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この段階では、エサをやる必要はなく、水温に気を付けてあとは観察するだけ。エビ系の生き物はエサが少なくて餓死することはほとんどなく、レッドシュリンプなら1ヵ月ぐらいは平気。それよりもエサのやりすぎで水質が悪化して死んでしまう確率の方が高い。かといって頻繁に水を換えても環境の変化で死んでしまうのだ。なかなか難しい。

11月28日、たったの3日間で脱皮をくり返して、こんなに大きくなった。今度は肉眼でもハッキリ分かる。体長10mmはあるだろう。

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上から見ると先端に目があって、甲羅に被われ、そこから尻尾が出ている。三葉虫よりもカブトガニに似ている。だからカブトエビなのだろうか。

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12月1日。時々、裏返しになって泳ぐ。特に異常な行動ではないようだ。エサをかかえてラッコのように脚で抱えながら食べることもある。水を半分交換した。

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12月6日。水槽の中でひっくり返ったまま動かないトリオプスを見つけた。前日まで元気に泳いでいたのに…… 水温は21.5度まで下がっていた。これが原因だろうか。

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水槽から出して浅い容器に移し替えて撮影。甲羅が透明から半透明になってきた。最後は完全に不透明になるらしい。体長は15mm。尻尾までいれると21.8mmだった。

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ひっくり返すと脚が沢山あることが、よく分かる。1ヵ月ほどでここに卵を抱く予定だったのにかわいそうなことをした。卵は砂に産み付けられ、これを乾燥して水を入れると第二世代が生まれる可能性もあった。

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脱皮したての皮も見つかった。脱皮したら水温が低くて耐えきれなかったのだろうか。30度を超す方がまずいと思って低めに温度設定したのがよくなかったようだ。実際、32度ぐらいでも元気に泳いでいたからなあ。

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調べてみるとトリオプスの卵は孵化率が30%ぐらいらしい。今回は一匹しか生まれなかったので、水槽の砂を乾燥させて、また水を入れてやると再び孵化するかもしれない。ウッドチップと栄養はもうないが、もし生まれたら何とか育ててみたいと思う。『シーモンキー』(ブラインシュリンプ)と比べると、育てるのは簡単だと感じた。ブラインシュリンプは確実に孵化して一気に100〜300匹ぐらい生まれるが、大きくなるまでにほとんど死んでしまう。トリオプスはなかなか孵化しないが、生まれればどんどん脱皮して大きくなるという感じだ。似たような飼育セットで「ホウネンエビ」もあるが、私が一番、生きた化石に近いと思うのは「カブトエビ」である。まあ、理想は「カブトガニ」か「オーム貝」だが、どちらも海水で飼育する必要があり、30cmぐらいまで大きくなるらしいので本格的な水槽と濾過装置一式が不可欠と敷居が高すぎる。温かくなったら、もう少し大きな水槽で、もう一度トリオプスを育ててみたい。うまくいけば半年ぐらい生きて、体長も5cmぐらいになるらしい。

タカラトミー『ヒーリングラボ トリオプス』

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【SPEC】
●セット内容=水槽×1個・トリオプス(カブトエビ)の卵×1袋・トリオプス(カブトエビ)のエサ×1袋・トリオプス(カブトエビ)の栄養×1袋・ウッドチップ×1袋・取り扱い説明書

■タカラトミーのホームページ
http://www.takaratomy.co.jp/
■『ヒーリングラボ トリオプス』の製品ページ
http://www.takaratomy.co.jp/products/triops/



プロファイル
川野剛
カメラマンに憧れ中1で押し入れ暗室にこもる。高校で写真部部長。コピーライターとなるが、会社を辞め単身カナダに渡りアウトドアインストラクターを目指す。帰国後、AV、家電、デジカメ、Macの好きなライター稼業を続ける。家事検定3ツ星、NPS会員。

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